【会報誌 FABIUS FUN 2025年秋号より】美肌を育む秋のインナーケアのヒント

夏の紫外線や冷房によるダメージをそのまま放っておくと、乾燥、シミ・シワ・たるみなどの肌悩みが現れやすくなります。スキンケアだけではなんだか追いつかないと感じたら、体の内側からアプローチするインナーケアが大切です。 美容にうれしい栄養素たっぷりの食材を上手に取り入れることで、内側からうるおいとハリのある美肌のキープを助けます。「キレイ」と「老け見え」の分かれ道。秋の美しさを保つ鍵はインナーケアにもあるんです!
今回は、抗加齢医学のスペシャリスである青木晃医師に伺った「秋に摂りたい栄養素」をもとに、記事の最後には、おすすめな食材やレシピもご紹介します!

秋は美肌ケアを見直す季節! インナーケアが大切な理由

酷暑だった夏が終わり、心地よい風が吹き始める秋。過ごしやすい季節でひと安心な一方で、お肌にとっては夏の間に蓄積されたダメージが表面化し、肌トラブルが起こりやすくなる時期です。夏の強い日差しを浴びることで、肌には日焼けやシミ、乾燥といったダメージが蓄積されます。このダメージをそのままにしてしまうと、老化のスピードを速めてしまう原因に。

この夏、紫外線対策や保湿ケアをしていたつもりでも、お肌にこんなお悩みが気になりませんか?
これらは、夏の間に受けた紫外線ダメージや冷房による乾燥などが原因で、肌のターンオーバーが乱れたり、メラニンが過剰に生成されやすいからです。真皮層のコラーゲンやエラスチンが紫外線で破壊されると、肌の弾力やハリが失われます。特に秋は「キレイ」と「老け見え」の分かれ道と言われ、この時期のケアが非常に大切。でも、スキンケアだけではなかなか追いつきにくいものです。


そこでポイントになるのが、体の内側から美肌の土台を立て直すインナーケアです。
食事やドリンクなどで必要な栄養素を補給することで、肌のターンオーバーをサポートし、乾燥に負けない強いバリア機能を育むことにもつながります。また、血行を促進し、栄養を肌のすみずみまで行き渡らせることで、夏の肌ダメージをケアし、内側から輝くような透明感を取り戻すことができることに役立ちます。

美しい肌は、外側からのケアと内側からのケアを心がけましょう。秋は「食の秋」とも言われるように、インナーケアを始めるにはおすすめの季節です。美容にうれしい栄養をたっぷり補給して、お肌が持つ本来のキレイの力を高めていきましょう。

《お悩み別》秋に積極的に摂りたい10の美容栄養素

秋のインナーケアで特に意識して摂りたいのは、夏のダメージを修復し、肌の潤いを守る働きを持つ栄養素です。ここではお悩みごとにおすすめしたい10の美容栄養素をご紹介します。食事だけで補いきれない時は、ドリンクやサプリなどでプラスする方法もあります。秋に積極的に摂りたい栄養素で、夏に受けたダメージをケアしましょう!

ダメージ①日焼けやシミのお悩みに

夏にできてしまったシミやくすみが気になる時は、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEを積極的に摂取しましょう。内側からの透明感アップを促します。

ビタミンC
抗酸化作用を持つと言われています。また、コラーゲンの生成を助ける働きのある栄養素です。
食材例:パプリカ、キウイ、ブロッコリー、柿

ビタミンE
肌の健康を保つのに役立つ栄養素として知られています。ハリやツヤの維持に役立ちます。
食材例:アーモンド、かぼちゃ、アボカド

ダメージ②お疲れ顔のお悩みに

顔色が冴えない、クマが気になるといったお疲れ顔は、血行不良や栄養不足が原因です。一気に老け感が増してしまうので、血流と代謝を促す3つの栄養素で、健康的な若見え印象の肌を目指しましょう。

鉄分
血流を促すことで、栄養不足によるくすみをケアする働きがあります。
食材例:ほうれん草、レバー、赤身肉、ひじき

ビタミンB群
代謝をアップさせてターンオーバーを整える働きがあります。
食材例:豚肉、玄米、納豆、卵

アントシアニン
ポリフェノールの一種で抗酸化作用とともに疲労感や黄ぐすみのケアに役立ちます。
食材例:ブルーベリー、紫芋、黒豆

ダメージ③シワ・たるみ・肌荒れのお悩みに

シワ・たるみ・肌荒れがあると、それだけで老けて見られがちです。地道に栄養素を摂って土台から美肌力を高めましょう。

ビタミンA
皮膚や粘膜を健やかに保ち、ターンオーバーを促します。肌のバリア機能を高めるため、乾燥が気になる秋に特に重要な栄養素です。
食材例:にんじん、レバー、ほうれん草

葉酸
新陳代謝を助け、ターンオーバーを正常化することで肌荒れやくすみケアに役立ちます。
食材例:鶏むね肉、ほうれん草、ブロッコリー

N-アセチルグルコサミン
ヒアルロン酸の生成を助け、肌のハリ・弾力の維持をサポートします。
食材例:まいたけ、エビ、カニ

ダメージ④抜け毛のお悩みに

抜け毛やパサつきが増えるのは、夏の紫外線ダメージによる影響かもしれません。頭皮環境を整える栄養素で内側からケアしましょう。

亜鉛
細胞の新陳代謝を助け、お肌や髪、爪の健康維持をサポートします。
食材例:牡蠣、牛肉、カシューナッツ

ビオチン
皮膚や頭皮の炎症トラブルを抑え、健やかな髪を育てるのに欠かせないビタミンB群の一種です。
食材例:卵、ナッツ類、レバー

監修
青木 晃先生

抗加齢医学専門医・日本美容内科学会理事長

1961年東京都生まれ。1988年防衛医大卒業。防衛医大卒業後は代謝・内分泌内科医として糖尿病、肥満症の臨床・研究に従事。2000年から抗加齢(アンチエイジング)医学の道に。2004年には日本で初めてのアンチエイジングクリニックである恵比寿アンチエイジングクリニックを開院。2007年、順天堂大学大学院加齢制御医学講座准教授に就任。2023年、日本美容内科学会を立ち上げ理事長に就任。

おいしく食べてキレイに!
美容栄養素たっぷりの食材を使った簡単美容レシピ5選

10の美容栄養素が種類豊富に摂れる簡単メニューをご紹介します。「食の秋」だからこそ、旬の食材も取り入れながらおいしく食べて、手軽にインナーケアを続けましょう。

1.豚肉とパプリカのオイスター炒め

豚肉 ビタミンB1・B12
ビタミンB1が豊富で、糖質を効率的にエネルギーに変換し、疲労回復をサポートします。夏の暑さや紫外線で体力を消耗しやすい秋口にぴったりの食材です。ビタミンB1は肌細胞の代謝にも関わり、肌のくすみやハリ低下を防ぐ効果も期待できます。

パプリカ ビタミンC ビタミンA
ビタミンC含有量が野菜の中でもトップクラス。しかも加熱に強いため、炒め物でも栄養を損ないにくいのが魅力です。ビタミンCはコラーゲン生成を助け、紫外線ダメージを修復し、透明感のある肌へ導きます。また、βカロテンも含まれ、肌や粘膜の健康維持にも効果が。

調理のコツ
豚肉に片栗粉をまぶして炒め、パプリカを加えて、オイスターソース・酒・砂糖・しょうゆで味付け。片栗粉をまぶすと、豚肉の旨みを閉じ込めて柔らかく仕上がります。パプリカは炒めすぎず、シャキッとした食感を残すことで彩り美しく、栄養価もキープできます。

2.ほうれん草とアーモンドの和え物

ほうれん草 鉄分 葉酸 ビタミンC ビタミンA
鉄分とβカロテンが豊富で、血行促進と抗酸化作用に優れています。鉄分はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がるため、柑橘系の果汁やトマトと合わせるのもおすすめです。

アーモンド ビタミンE ビオチン 亜鉛
ビタミンEの代表格で、肌の酸化ダメージを抑え、ハリやツヤを保ちます。血行促進作用もあり、冷え性やくすみ改善にも効果的です。

調理のコツ
ゆでたほうれん草に、砕いたアーモンドとめんつゆを加えて、さっと和えるだけ。アーモンドは軽くローストすると香ばしさがアップします。

3.鶏むね肉のブルーベリーソースがけ

鶏むね肉 葉酸 ビタミンB6
高たんぱく・低脂質でヘルシーな食材。健やかな肌や髪、爪を作る材料に。葉酸も含まれており、皮膚や粘膜の代謝を助けて、肌荒れやくすみケアにも役立ちます。

ブルーベリー アントシアニン ビタミンC
ポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く含み、紫外線やストレスによる酸化ダメージから肌を守ります。血流促進作用もあり、くすみ予防にも効果的です。

調理のコツ
塩こしょうをふった鶏むね肉を焼く。ブルーベリー・酒・砂糖を煮立たせ、バルサミコ酢を加えたソースをかけて完成。バルサミコ酢を加えることで味が引き締まり、肉の旨みも引き立ちます。

4.豚レバーとまいたけの黒コショウ炒め

豚レバー 鉄分 ビタミンA ビオチン 亜鉛 葉酸
鉄分とビタミンAの宝庫。鉄分は血液の材料となり、血色の良い肌をつくります。ビタミンAは皮膚や粘膜を健やかに保ち、肌荒れや乾燥を防ぐ働きがあります。少量でも多くの栄養が摂れるため、美肌づくりには強い味方です。

まいたけ N-アセチルグルコサミン ビオチン 葉酸 亜鉛
ビタミンDや食物繊維に加え、注目の成分N-アセチルグルコサミンを含みます。この成分はヒアルロン酸の生成を促し、肌のうるおいやハリ感を高める効果が期待できます。秋の乾燥肌対策として取り入れたい食材です。

調理のコツ
カット済みの豚レバーを使うと簡単。牛乳に浸すことで臭みが軽減され、食べやすくなります。にんにくを効かせた油で炒め、まいたけを加えて塩・黒こしょうで仕上げます。

5.牡蠣の卵とじ

牡蠣 鉄分 亜鉛 ビタミンB12
海のミルクとも呼ばれ、亜鉛や鉄分、ビタミンB12が豊富。なかでも亜鉛は髪や爪、肌の細胞の再生を促進し、抜け毛や肌荒れを防ぎます。鉄分は血流を改善し、くすみのない明るい肌をサポートします。

 ビオチン 葉酸 ビタミンA ビタミンE
良質なたんぱく質のほか、ビオチンをはじめとするビタミン・ミネラルをバランス良く含みます。ビオチンは皮膚や髪、爪の健康を守る重要な栄養素で、全身のキレイをサポートします。

調理のコツ
水とめんつゆを煮立たせ、牡蠣を加えて火が通ったら溶き卵を流し入れる。半熟で火を止めれば、ふんわりとした食感に。そのまま食べても、丼にしてもOK。


いずれも調理時間10〜15分で完成する簡単レシピばかり! 夏に受けたダメージをケアして美肌をキープするには、外側からのスキンケアはもちろん、美容栄養素が豊富な食事で内側からもインナーケアを行うことが近道です。ぜひ今日から始めて、“食べてキレイ”を目指しましょう!